新卒採用の構造が、2025年から2026年にかけて根本から変わりつつあります。エントリーシート(ES)は学生側の生成AI利用で均質化し、AI面接は有料noteで攻略法が販売される時代になりました。一方で対面面接・グループディスカッションへの回帰が数値裏付け付きで進行しています。本記事は、複数の一次ソース(マイナビ・リクルート・日本経済新聞・企業公式リリース等)を引きながら、この三重のシフトを整理し、サイバーエージェントが実装した解決策に接続します。
シフト1:ESの形骸化と書類選考廃止の動き
学生の82.7%が就活でAIを利用、ES作成・推敲が最多用途
マイナビキャリアリサーチLab「2026年卒 大学生キャリア意向調査」(2025年5月26日公開、サンプル1,385名)によれば、就活生のAI利用経験は 82.7% に達し、2024年卒の39.2%から 約2倍 に拡大しました。用途のトップは 「エントリーシートの推敲」68.8%、「ES作成」40.8% で、ESがAI生成・AI推敲のレールに乗っていることが明確になっています。
i-plugの26年卒調査(2025年5月29日、PR TIMES経由)でも、ChatGPT等の活用率は 86.9%(25卒比+26.4pt)で、活用場面の最多は 「就職活動」63.0%。ES作成時のChatGPT活用は 「志望動機」88.6%、「自己PR」86.4% と、もはやESの中身は学生個人の文章ではなく生成AIのアウトプットを編集したものが大多数を占めています。
出典:
- マイナビキャリアリサーチLab「2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用>」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250526_96625/ (2025-05-26)
- i-plug「2026年卒 ChatGPT等生成AI活用に関する調査」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000154.000041771.html (2025-05-29)
企業側はES廃止に踏み切る:ロート製薬「Entry Meet」
学生側のAI利用が広がる一方、企業のAI生成検知認識は限定的です。マイナビ系の調査では「生成AIによるES提出を実感している企業」は 12.3%(2025年、前年比+7.7pt) に留まり、学生実態(8割超)との間に大きなギャップがあります。
この現実を受けて、ロート製薬は2025年12月15日、27卒の新卒採用からESによる書類選考を廃止 すると公式発表しました。代替策は人事との 15分間対話「Entry Meet」(全国8拠点で原則対面、私服推奨)。廃止理由として「生成AIの普及によりESの内容が均質化し、一人ひとりの本質的な個性を捉えきれない」と明言しています。
日本経済新聞は同月、ロート製薬・ソフトバンク等の動きをまとめ、「ESから熱意や適性を評価するのが難しくなっている」という人事側の課題感を報じました。
出典:
- ロート製薬公式リリース「Entry Meet採用」 https://www.rohto.co.jp/news/release/2025/1215_01 (2025-12-15)
- 日本経済新聞「就活ES『AI頼み』が当たり前? 測れぬ熱意、ロートなど書類選考廃止」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC182OP0Y5A211C2000000/ (2025-12-22)
- 揚羽「『エントリーシート廃止』、生成AI普及で変化する新卒採用の実態と対策」 https://www.ageha.tv/magazine/magazine_rcb/entry_sheet_abolish/
シフト2:AI面接は「ハック」される時代に
note有料記事で攻略ノウハウが¥999〜¥1,444で販売
AI面接側にも逆風が吹いています。noteを検索すると 「AI面接完全攻略」「AI面接通過マニュアル」 といった有料記事が ¥999〜¥1,444 で並びます。代表的な攻略note(2025年7月公開、いち@大学生向け発信者)では以下の中核ロジックが提示されています。
- 「AIは『完璧さ』よりも『一貫性』を重視する」 という攻略前提
- 姿勢・話速・口調の安定を最優先する受験テクニック
- キリン向けAI面接専用セクション(約3,000字) が組み込まれている
- 「電通」「NRI」「東京海上日動」などの通過実績スクショで訴求
中途向けにも「AI面接を控えた転職者へ。通過者がやった全手順+頻出30問+4職種テンプレート【STAR法で答えるだけ】」など、同種の攻略コンテンツが商品として流通しています。SHaiN(株式会社タレントアンドアセスメント、導入600社超)の質問が「目的・苦労・成果・貢献・根拠」の5観点に体系化されていることもあり、ロジックツリー型の対策が組みやすい構造になっています。
出典:
- note「【全就活生必見】AI面接完全攻略note」 https://note.com/ainote150000/n/n804dabd61736 (2025-07-23)
- note「AI面接を控えた転職者へ」 https://note.com/ai_careerlab/n/nb889414e6a05
- SHaiN公式 https://shain-ai.jp/
候補者側はそもそも完全自動AI面接を望んでいない
ハック市場が成立する以前の問題として、学生側はAI面接を歓迎していません。マイナビ調査(2025年5月)では 77.5%の学生がAI面接で「受験意欲が下がる」 と回答し、理由は「人に評価してほしい」41.2%、「AI(機械)に判断されたくない」38.2%、「AIの精度が信用できない」34.0% と続きます。
同調査では、企業のAI活用に対しても 面接内容の評価利用には47.5%が反対(適性検査の評価利用には49.8%が賛成)と、評価判断にAIを介入させること自体に強い忌避感が示されています。
完全自動AI面接(AI面接官型)のデメリットを網羅した整理はAI面接のデメリット5つ|企業が導入前に知るべきリスクと正しいAI活用法、メリット・デメリットの対称比較はAI面接のメリット・デメリット完全比較を参照してください。
シフト3:対面面接・グループディスカッションへの回帰が定量化
対面面接実施率94.1%、対面開始企業51.2%
第三のシフトとして、対面回帰が数値で裏付けられています。
- リクルート就職みらい研究所『就職白書2025』(2025-02-20):2月時点で対面面接を開始した企業 51.2%(前年比+11.6pt)、Web面接開始61.8%(+11.0pt)
- HR研究室「2025年版 新卒採用のトレンド」集計:対面面接実施率 94.1%(前年比+5.1pt)、オンライン面接は前年比 -3.3pt
候補者側の調査でも、リクルートマネジメントソリューションズの26卒新卒採用調査では希望する企業文化TOP3が「お互いを尊重し暖かみのある」「オープンなコミュニケーション」「一体感・チームワーク」と協調系カテゴリで占められており、対面で雰囲気を確かめたい志向が双方向で強まっています。
出典:
- リクルート就職みらい研究所『就職白書2025』 https://shushokumirai.recruit.co.jp/white_paper_article/20250220001/ (2025-02-20)
- HR研究室「2025年版 新卒採用のトレンド」 https://kimisuka.com/hrlab/recruitment/341
- リクルートマネジメントソリューションズ「2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」 https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/7236681484/
しかしGDには「アサイン難・属人化・公平性」という固有課題がある
対面回帰・GD重視は理屈の上では合理的でも、現場には次の課題が立ちはだかります。
- 1回のGDに選考官を1名アサインする必要があり、選考官の時間調整が破綻しやすい
- 同時並行で複数GDが進むと、評価のばらつき・観察漏れが発生
- 候補者の発話量・対話の質という重要シグナルが記憶頼みで構造化されない
- 母集団拡大局面では選考枠が不足し、候補者体験を損なう
ESを廃止しAI面接にも頼れない状況で、GDを単純に増やすだけでは現場が回らないのが現実です。ここから先のシフトが、本記事の本題です。
サイバーエージェントの解:GD録画×AI分析でES代替+AI面接代替
1次選考枠を前年比150%拡大、2次以降の合格率も向上
サイバーエージェントは2024年9月、株式会社aileadの商談解析クラウド「ailead」を新卒採用のグループディスカッション選考に導入したと公式発表しました。同社のグループディスカッションはZoomのブレイクアウトルームで実施されており、aileadが各ルームを自動録画し、AIによる発話解析(話者分離・発話率)で評価データを蓄積する運用です。
公開されている定量効果は以下のとおりです。
| 指標 | 効果 |
|---|---|
| 1次選考枠 | 前年比 150%拡大 |
| 2次選考以降の合格率 | 向上(具体%は非公開) |
| 選考官アサイン業務 | 削減(録画の非同期チェック・倍速再生で対応) |
| 評価データ | 話者分離・発話率の客観値が蓄積、横断レビュー可能に |
「GDはESに代替され、かつその精度を高める」
人事部採用戦略室室長の大久保泰行氏は同リリースで次のように述べています。
「多くの人事担当者がエントリーシートの多さに困っていると思います。エントリーシートには有益な情報が含まれていることもありますが、候補者の面接時の振る舞いやディスカッションで得られる情報の方がはるかに価値が高いと考えられます。aileadを活用したグループディスカッションはエントリーシートに代替され、かつ更にその精度を高める可能性が高いと考えます。」
同マネージャーの飯沼嵩央氏は運用効果について次のようにコメントしています。
「aileadのブレイクアウトルームの録画・分析機能の導入により、選考官のアサイン、調整作業が削減され、その結果、選考枠を前年比150%拡大することができました。これまで選考に参加したくても、参加できなかった多くの学生の方々に機会を提供することが可能となりました。録画データから得られる話者分離データや発話率を基に、より正確な評価軸で採用の意思決定が行えています。」
この事例は、本記事で整理してきた三重のシフトに対する具体的な解の形を示しています。
- ES代替:書類で読めない人柄・対話姿勢を、GDの発話データで構造化
- AI面接代替:「AIが面接する」のではなく「人間が面接し、AIが記録・分析する」リアルタイム評価支援型に移行
- 対面回帰の現場運用:GDを増やす際の選考官アサイン難・属人化を録画と非同期確認で解決
出典:
- 株式会社ailead プレスリリース「サイバーエージェントが商談解析クラウド『ailead』を導入」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000040516.html (2024-09-10)
- ITmedia ビジネスオンライン「AI活用で『2次選考以降の合格率』向上 サイバーエージェント」 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2409/24/news042.html (2024-09-24)
- ailead公式 導入事例「サイバーエージェント様」 /cases/cyberagent
まとめ:2026年の新卒採用は「録画×AI分析」が現実解
2026年の新卒採用で人事責任者が直面する問題は、単一のテクノロジー選定ではなく、ESもAI面接も信頼性が崩れた状態で、何を選考シグナルとして残すか という構造課題です。本記事で見てきた三重のシフトに対する現時点の最有力解は、次の組み合わせです。
| 課題 | 解 | 実装例 |
|---|---|---|
| ESがAIで均質化 | 書類選考の比重を下げ、対面・GDの比重を上げる | ロート製薬 Entry Meet(2025-12) |
| AI面接が攻略される | 完全自動型ではなく、人間面接+AI評価支援に移行 | リアルタイム評価支援型AI |
| 対面・GDの運用負荷 | GDを録画してAIで構造化、非同期評価で工数削減 | サイバーエージェント+ailead(150%拡大) |
aileadは、Zoom・Microsoft Teams・Google Meet上のオンライン面接・グループディスカッションを自動録画・文字起こし(日本語精度約94%)し、発話解析・評価項目マッピング・Salesforceカスタムオブジェクト連携までを一気通貫で提供する対話データAIプラットフォームです。ISO/IEC 27001:2022認証取得、日本国内データセンター運用、400社以上の導入実績があり、ITreviewセールスイネーブルメント部門14期連続Leader受賞・SFAツール部門12期連続Leader受賞しています。
「ESもAI面接も信頼できないなら、何で選考すればよいのか」という人事責任者の問いに、サイバーエージェントの実装例は一つの解を示しました。同じ課題感を持つ企業のご相談を歓迎します。
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ailead編集部
株式会社ailead
aileadの公式編集部です。営業DX・AI活用に関する情報を発信しています。



