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「今月、売上は着地でどのくらいになりそう?」。営業会議でよく聞かれるこの質問に、自信を持って答えられていますか?
着地見込みは単に「今月の予想値」を出すだけでなく、残り期間の行動計画を立てるための指針です。この記事では計算方法3パターン、当期売上見込みの意味、精度を高めるコツを実務視点で解説します。
着地見込みとは?ビジネスでの意味と使い方
着地見込みとは、月末などの区切りまでに売上や粗利がいくらになるか予測した数値です。「着地予測」「着地予想」とも呼ばれます。
広義では、上場企業が開示する「業績予想」も着地見込みの一種です。社会情勢や競合動向により当初予想から乖離した場合は、上方修正・下方修正が行われます。
営業現場では月次・四半期の目標管理に使われます。着地見込みを把握することで、「目標まで残り○万円、残り営業日で追加アクションが必要か」という判断ができます。
売上だけでなく、粗利(売上総利益)の着地見込みも重要です。粗利=売上高-売上原価であり、売上は大きくても粗利が低ければ実質的な収益は改善しません。売上と粗利の両面で着地見込みを管理しましょう。グロスとネットの違いを理解しておくと、粗利計算の前提を正確に把握できます。
実務でよく使われる略語:デジ着・着見とは
営業現場や経営管理部門では、「着地見込み」をさらに短く表現した略語が使われます。
| 略語 | 正式名称 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 着見(ちゃくみ) | 着地見込み | 営業会議・日報・週報での口語的表現 |
| デジ着(でじちゃく) | デジタル着地 / デジタル着地見込み | デジタル営業・インサイドセールス領域での着地見込み |
| 当期見込み | 当期売上見込み | 経理・管理会計部門での当事業年度予測 |
「今月の着見を教えて」「デジ着はどうなっている?」といった形で日常的に使われるため、こうした略語の意味を理解しておくことも重要です。
当期売上見込みとは:経理・管理部門での活用
当期売上見込みとは、現在進行中の事業年度(当期)全体の売上高がいくらになるかを予測した数値です。営業現場で使う「今月の着地見込み」とは、対象期間・目的・利用部門が異なります。
上場企業の業績予想としての意味
上場企業では、当期売上見込みを「業績予想(通期予想)」として投資家・アナリスト向けに開示します。決算発表時に公表した業績予想が実態と大きく乖離する場合は、適時開示(業績修正)が義務付けられています。
四半期決算ごとに業績予想を見直すため、各四半期の着地見込みが通期見通しにも直結します。Q1終了時点で進捗率が期初計画を上回っていれば上方修正の可能性が高まり、下回っていれば下方修正リスクが浮上します。IR部門と営業企画が連携し、精度の高い着地見込みを維持できるかが市場からの信頼に直結します。
この文脈での当期売上見込みは以下の要素から構成されます。
- 既計上売上:期首からの実績累計
- 受注残・確定案件:契約済みで売上計上待ちの案件
- 見込み案件:確度の高いパイプライン
- 季節補正:前年同期比・繁閑パターン
内部管理数値としての当期売上見込み
上場・非上場を問わず、経理・管理部門は毎月の月次決算後に当期売上見込みを更新します。CFOや経営企画部門がステークホルダーに報告する際の基礎数値となり、資金繰り計画・採用計画・設備投資判断にも影響します。
経理部門がExcelで当期売上見込みを管理する場合、以下のような計算式が一般的です。
通期着地見込み = 実績累計 + Σ(残月次 × 月次予算 × 達成率補正係数)
達成率補正係数には直近3か月の平均達成率を使うケースが多く、前年同月の季節変動も加味します。売上目標の計画の立て方で、予算策定と着地見込みの連動について確認できます。
| 管理指標 | 担当部門 | 更新頻度 |
|---|---|---|
| 月次着地見込み | 営業部門 | 週次 |
| 四半期着地見込み | 営業部門・経営企画 | 月次 |
| 当期売上見込み(通期) | 経営企画・経理 | 月次(決算後) |
営業着地見込みと経理上の当期見込みの違い
営業現場の「着地見込み」と経理部門の「当期売上見込み」は、似ているようで異なります。
営業着地見込みは、今月・今四半期の目標達成に向けたアクション管理が主目的です。短期間(月内・四半期内)の数値であり、営業担当者やマネージャーが日常的に更新します。
経理上の当期売上見込みは、事業年度全体(通期)の収益予測です。売上計上基準(収益認識基準)に従った会計上の数値であり、残り月数分の積み上げ予測を含みます。
両者を混同すると「今月の着地は達成しているのに、通期見通しが未達」という判断ミスにつながります。それぞれの目的・範囲を明確に区別して管理しましょう。
着地見込みの計算方法3パターン(図解付き)
着地見込みの計算は目的と状況に応じて3パターンを使い分けると精度が上がります。
パターン1:単純按分法(最もシンプル)
計算式:当日までの売上 ÷ 経過日数 × 当月合計日数
最もよく使われる方法です。月中のある時点まで均等に売上が積み上がると仮定して計算します。
計算例:
- 15日時点の売上:90万円
- 当月合計営業日:20日
- 着地見込み:90万 ÷ 15 × 20 = 120万円
粗利も同様に算出できます。30万円 ÷ 15日 × 20日 = 40万円。
注意点: 月末に受注が集中する業種では、月初の按分計算は過小評価になりやすいです。
パターン2:加重平均法(前年同月実績を反映)
計算式:単純按分値 × 補正係数(前年同月の日次パターン)
繁閑差がある業種に有効です。たとえば「前年同月は月末3日間で売上全体の40%を占めた」というデータがある場合、その比率を加味して着地見込みを補正します。
| 時期 | 単純按分のみ | 加重平均(前年データあり) |
|---|---|---|
| 月初(5日経過) | 不確実性高い | 低め補正 |
| 月中(15日経過) | 比較的安定 | ± ほぼ同値 |
| 月末3日前 | やや過小評価 | 月末集中係数を加算 |
具体計算例(過去3か月の実績に重み付け):
過去3か月の月次売上が以下の場合を考えます。
- 3か月前の売上:100万円(重み:0.2)
- 2か月前の売上:110万円(重み:0.3)
- 先月の売上:120万円(重み:0.5)
加重平均の着地見込み = 100万 × 0.2 + 110万 × 0.3 + 120万 × 0.5 = 20万 + 33万 + 60万 = 113万円
直近月ほど重みを大きくすることで、最新のトレンドを反映しやすくなります。季節要因が大きい業種では、前年同月にも0.1〜0.2程度の重みを配分すると補正精度が上がります。
パターン3:パイプライン積み上げ法(最も精度が高い)
計算式:確定済み売上 + Σ(商談金額 × 受注確度)
SFAに蓄積された商談データを活用する方法で、3パターン中最も精度が高いとされています。
計算例:
- 確定済み売上:60万円
- 受注確度90%の商談:50万円 → 45万円
- 受注確度60%の商談:40万円 → 24万円
- 受注確度30%の商談:30万円 → 9万円
- 着地見込み:60 + 45 + 24 + 9 = 138万円
パイプライン管理の詳細は営業パイプライン管理の全体像も参考にしてください。
計算精度を上げる5つのコツ
着地見込みの「ズレ」は行動計画のズレにもつながります。精度を高める5つのコツを実践してください。
コツ1:受注確度の定義を統一する
「確度80%」の基準が営業担当者によってバラバラでは、パイプライン積み上げ法が機能しません。「契約書稟議中は90%」「競合2社に絞り込み済みは60%」など、ステージ別に数値基準を統一しましょう。営業KPIの設計と管理で確度設計の考え方を確認できます。
ステージ別確度テーブル(S/A/B/C)
受注確度をチーム全体で統一するために、以下のようなステージ別テーブルを運用基準として設定します。
| ステージ | 定義 | 標準確度 |
|---|---|---|
| S(受注直前) | 契約書稟議中・決裁待ち | 90% |
| A(最終候補) | 競合2社に絞り込み済み | 70% |
| B(検討中) | 予算確保・要件定義中 | 40% |
| C(初期段階) | 情報収集・比較検討初期 | 15% |
SFAの商談ステージにこのS/A/B/Cを設定し、担当者が商談を進めるたびにステージを更新するルールにすると、パイプライン積み上げ法の着地見込みが自動で再計算されます。SFAダッシュボードの活用方法では、ステージ別のパイプライン可視化について解説しています。
コツ2:月初は3パターンを併用する
経過日数が少ない月初は単純按分の誤差が最も大きい時期です。前月末のパイプライン残高をベースにした積み上げ計算と併用することで、ブレを最小化できます。
コツ3:前月末の「持ち越し受注」を把握する
月初の着地見込みは「前月から持ち越した受注予定案件」の影響を大きく受けます。SFAで前月末時点のパイプラインを必ず確認しましょう。売上予測の精度をAIで高める方法も参考にしてください。
コツ4:売上と粗利を別々に計算する
単価の高い案件でも粗利率が低いケースがあります。売上の着地見込みが目標を超えていても粗利が未達というケースは珍しくありません。売上・粗利の双方を別管理しましょう。
コツ5:週次で更新する
月1回の更新では手遅れになることがあります。週次で着地見込みを更新し、早期に軌道修正できる体制を作ることが重要です。予実管理の進め方と精度向上も合わせて確認しましょう。
Excelで着地見込みを計算する方法
Excelで着地見込みを管理している組織も多いはずです。ここでは実務で使える計算式を紹介します。
SUMPRODUCT関数での加重平均計算
パイプライン積み上げ法をExcelで実現するには、SUMPRODUCT関数が便利です。
=確定済み売上セル + SUMPRODUCT(商談金額の範囲, 受注確度の範囲)
たとえば、確定売上がB2セル、商談金額がC5:C20、受注確度がD5:D20にあるとします。
=B2 + SUMPRODUCT(C5:C20, D5:D20)
受注確度はパーセンテージ(0.9, 0.7, 0.4, 0.15など)で入力します。前述のステージ別確度テーブル(S=0.9, A=0.7, B=0.4, C=0.15)をVLOOKUPで自動変換すると、入力ミスを防げます。
単純按分法の計算式
=当日までの売上セル / 経過日数セル * 当月合計日数セル
経過日数は =TODAY() - 月初日セル で自動計算できます。当月合計日数は =DAY(EOMONTH(TODAY(),0)) で月末日を取得すれば手入力が不要になります。
目標達成率との連動
着地見込みを算出したら、目標との乖離を自動計算する列を追加します。
=(着地見込みセル - 目標セル) / 目標セル
この乖離率が ±5%以内であれば着地精度として良好です。±10%を超える場合はアクションプランの見直しが必要と判断できます。
営業報告書での着地見込み記載テンプレート
週次・月次の営業報告書に着地見込みを記載する際の標準フォーマットを紹介します。報告書の記載を標準化することで、マネージャーへの報告工数削減と情報の精度向上につながります。
週次報告テンプレート
【週次営業報告】〇月第〇週
■ 今月の着地見込み(更新日:○月○日時点)
- 売上着地見込み:○○万円(目標比 ○○%)
- 粗利着地見込み:○○万円(目標比 ○○%)
- 算出方法:パイプライン積み上げ法
■ パイプライン状況
- 確定済み(計上済み):○○万円
- 確度90%以上:○○万円
- 確度50-89%:○○万円
- 確度49%以下:○○万円
■ 目標達成に向けた残アクション
- ○○社との契約交渉(今週中にクローズ予定)
- △△社への追加提案(来週提案予定、金額○○万円)
■ リスク・懸念事項
- □□社の決裁遅延(1週間後ろ倒しの可能性)
月次報告テンプレート(経営向け)
【月次営業着地レポート】○月実績・当期見込み
■ 今月着地見込み
- 売上:○○万円(月初予算比 ±○○万円)
- 粗利:○○万円(粗利率 ○○%)
■ 当期売上見込み(通期)
- 累計実績:○○百万円
- 残月次見込み合計:○○百万円
- 通期着地見込み:○○百万円(期初予算比 ○○%)
■ 前回報告からの変動要因
- ポジティブ:○○案件の前倒し計上(+○○万円)
- ネガティブ:○○案件の翌月ズレ(▲○○万円)
このようなテンプレートを整備することで、報告者ごとのフォーマット差異をなくし、着地見込みの比較・集計が容易になります。営業部長に必要な能力と役割では、管理職としての数値管理の考え方も解説しています。
よくある間違いと対処法
間違い①:「着地見込みが目標を超えているから安心」
月中時点で着地見込みが目標を上回っていても、後半に失注が重なることがあります。着地見込みはあくまで「現時点での予測値」です。定期的な更新と実績との乖離分析を続けましょう。
間違い②:経過日数が少ない時期の過信
月初3〜5日目の按分計算は誤差が最も大きいです。この時期は参考値として扱い、パイプライン積み上げ法を主体にして判断しましょう。
間違い③:個人目標だけで見ている
チーム全体・営業部門全体の着地見込みを把握していないと、部門間の支援や調整が遅れます。マネージャーは個人目標と合算した部門着地見込みを常に把握してください。
AI・ツールを活用した着地見込み管理
2026年の営業組織では、AIを活用した着地見込みの自動算出・精度向上が標準になりつつあります。
SFA/CRMの自動着地予測機能
主要なSFA/CRMには、商談ステージ・金額・確度をもとに着地見込みを自動計算するネイティブ予測機能が搭載されています。Salesforceの「予測」機能では、パイプライン積み上げ法による着地見込みが商談更新のたびにリアルタイムで再計算されます。
自動予測のメリットは、Excelでの手動集計と比べて更新工数を大幅に削減できる点です。担当者がSFAの商談ステージを更新するだけで、チーム全体の着地見込みがダッシュボード上に即座に反映されます。
ただし、SFAのネイティブ予測は商談データの入力精度に依存します。入力が遅れたり、確度の設定基準がバラバラだったりすると、予測値と実績に大きな乖離が生まれます。前述のステージ別確度テーブル(S/A/B/C)を徹底することが、自動予測の精度を保つ前提条件です。
AI予測による精度向上
最新のSFAやCRMには、過去の受注パターン・商談の進捗速度・担当者別の受注傾向などを機械学習で分析し、着地見込みの精度を向上させるAI機能が搭載されています。売上予測の精度をAIで高める方法では、具体的なAI活用手法を紹介しています。
aileadとの接続で商談データを構造化する
aileadは対話データを安全に統合・構造化し、AIエージェントが業務を自動で動かすエンタープライズ基盤です。Web会議や対面商談の内容を自動で構造化してSFAに連携するため、SFA入力工数を90%削減できます。
商談内容がSFAに正確に記録されることで、受注確度の判断根拠が明確になります。「この商談は競合比較フェーズに入っている」「決裁者との合意が取れた」といった情報がデータとして蓄積され、着地見込みの精度向上に直結します。導入500社超の実績を持ちます。aileadの詳細はこちら
まとめ:着地見込みテンプレートで今日から実践
着地見込みは「今月どこまで追えるか」を可視化し、残り期間の行動計画を立てるための最重要指標です。3パターンの計算方法と5つのコツを実践してください。
| 計算パターン | 向いている場面 | 精度 |
|---|---|---|
| 単純按分法 | 月中・均等型ビジネス | △月初は不安定 |
| 加重平均法 | 繁閑差がある業種 | ○ |
| パイプライン積み上げ | SFA活用・精度最優先 | ◎ |
着地見込み計算のステップをまとめます。
- SFAから確定済み売上・パイプライン残高を取得する
- 受注確度を統一基準(S/A/B/Cテーブル)で設定する
- 3パターンを使い分けて算出する
- 目標との差分から残りアクションを決める
- 週次で更新し、マネージャーに報告する
当期売上見込み(通期)は、月次着地の積み上げとパイプラインから算出し、経営企画・経理部門と連携して管理します。営業着地見込みと当期見込みを適切に使い分けることが、組織全体の数値管理精度向上につながります。
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ailead編集部
株式会社ailead
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