Salesforceに蓄積されたデータは、そのままでは数字の羅列にすぎません。ダッシュボードで「見せ方」を工夫することで、経営判断やチームのアクションに直結する情報に変わります。特にカスタマーサクセス(CS)チームにとっては、顧客のヘルススコアを一目で把握できるダッシュボードが日々の意思決定を支える重要なツールです。
本記事では、Salesforceダッシュボードの基本的な作成手順と、CSチーム向けのヘルススコア可視化の実践例を紹介します。
ダッシュボード作成の3ステップ
Salesforceのダッシュボードは「レポート → コンポーネント → レイアウト」の3ステップで構築します。それぞれの手順を確認していきましょう。
ステップ1: レポートを作成する
ダッシュボードの各コンポーネントは、レポートをデータソースとして参照します。まずは可視化したいデータに対応するレポートを用意しましょう。多くの場合、サマリーレポートを使います。レポートのグループ化項目や集計関数(合計、件数、平均など)がそのままコンポーネントの表示内容に反映されるため、レポート設計がダッシュボードの品質を左右します。
ステップ2: コンポーネントを選ぶ
レポートを作成したら、データの性質に合ったコンポーネントタイプを選択します。Lightning Experienceで利用できる主要なコンポーネントは以下のとおりです。
| コンポーネント | 用途 | 適したデータ |
|---|---|---|
| 棒グラフ | 比較 | カテゴリ別の数値比較 |
| 折れ線グラフ | 推移 | 時系列データ |
| ドーナツ/円グラフ | 構成比 | カテゴリ分布 |
| ゲージ | 達成率 | KPI vs 目標 |
| 数値 | 単一KPI | 合計、平均、件数 |
| テーブル | 一覧 | 詳細データの一覧表示 |
| 散布図 | 相関 | 2変数の関係性 |
コンポーネント選びの基本は「何を伝えたいか」から逆算することです。トレンドを見せたいなら折れ線グラフ、構成比を見せたいならドーナツチャートといった形で、伝えたいメッセージに最適な形式を選びます。
ステップ3: レイアウトを設計する
Lightning Dashboardは12カラムグリッドでレイアウトを構成します。レイアウト設計のポイントは、情報の優先度に沿った配置です。ダッシュボード上部に「最重要KPIの数値コンポーネント」、中段に「トレンドや分布のグラフ」、下段に「詳細テーブル」という階層構造にすると、閲覧者が自然に重要な情報から確認できます。
1ダッシュボードに配置するコンポーネントは6〜10個が適切です。Lightning Experienceの上限は25個ですが、情報を詰め込みすぎると視認性が大幅に低下します。
CSチーム向けダッシュボードの実践例
ここからは、カスタマーサクセスチームがヘルススコアを管理するための具体的なダッシュボード構成を紹介します。5つのコンポーネントを組み合わせた構成例です。
コンポーネント1: 利用量サマリー(数値コンポーネント)
ダッシュボード最上部に配置する数値コンポーネントです。総MAU、総録画件数、平均ヘルススコアなどの主要KPIを大きな数字で表示します。ダッシュボードを開いた瞬間に全体の状況を把握できるようにすることが目的です。レポート側で集計関数(SUM、AVG)を設定し、数値コンポーネントで参照します。
コンポーネント2: ヘルスティア分布(ドーナツチャート)
ヘルススコアに基づくティア分布をドーナツチャートで可視化します。レポートではカスタムオブジェクト(例: Product_data_fromBigQuery__c)を Health_Tier フィールドでグループ化し、レコード件数を集計します。Healthy、At Risk、Critical、New、Inactiveの5ティアで構成比を表示すれば、「全顧客の何%がCriticalか」が一目でわかります。
コンポーネント3: スコア悪化顧客リスト(テーブル)
直近30日間でヘルススコアが大幅に低下した顧客をテーブルで一覧表示します。レポートのフィルタ条件に Health_Score_Change_30d__c < -10 を設定し、取引先名、スコア変動幅、現在のティア、CS担当者を表示カラムに含めます。「今週フォローすべき顧客は誰か」をCSマネージャーが即座に判断できる、実務上最も重要なコンポーネントです。
コンポーネント4: MAU推移(折れ線グラフ)
月次アクティブユーザー数(MAU)の推移を折れ線グラフで表示します。スコア履歴データを月単位でグループ化し、時系列でプロットします。全体のMAUが右肩下がりの傾向を示していれば、個別顧客のフォローではなく、組織的な介入(プロダクト改善、オンボーディング見直しなど)が必要なシグナルです。
コンポーネント5: 採用率分布(棒グラフ)
プロダクトの採用率(Adoption Rate)をレンジ別に分布表示します。0〜25%、25〜50%、50〜75%、75〜100%の4段階にグループ化し、棒グラフで各レンジに属する顧客数を可視化します。採用率が低い層にボリュームが集中していれば、オンボーディングプログラムの強化が優先課題であることがわかります。
動的フィルタの活用
ダッシュボードの実用性を大きく左右するのが動的フィルタです。ダッシュボード編集画面の「フィルタを追加」から設定できます。CSチーム向けには以下の3つのフィルタが有効です。
1つ目は「CS担当者フィルタ」です。各CS担当者が自分の担当顧客だけに絞り込んで表示でき、自分が今週アクションすべき顧客を素早く把握できます。2つ目は「ヘルスティアフィルタ」で、Criticalだけ、At Riskだけといった絞り込みが可能です。3つ目は「日付フィルタ」で、表示期間を動的に切り替えられます。
フィルタを正しく設計すれば、1つのダッシュボードをCSチーム全員が「自分専用の画面」として活用できます。
ダッシュボードの更新頻度
ダッシュボードのデータは手動更新と自動更新の2通りで最新化できます。手動更新はダッシュボード画面の「更新」ボタンをクリックするだけです。自動更新を設定する場合は、ダッシュボードのプロパティから「スケジュール」を指定します。
たとえば、毎朝11時に自動更新を設定しておけば、日次のデータパイプラインで同期された最新データがダッシュボードに反映された状態で業務を始められます。ただし、更新スケジュールの頻度にはエディションごとの上限があるため、Salesforceの契約プランを事前に確認してください。
共有とアクセス制御
ダッシュボードの共有はフォルダベースで管理します。「私のプライベートダッシュボード」に保存した状態では本人のみ閲覧可能ですが、共有フォルダに移動すればチームメンバーにも公開できます。
重要な設定が「ダッシュボードの実行ユーザー」です。「ダッシュボード閲覧者として実行」を選ぶと、各ユーザーの共有ルールやロール階層に基づいてデータが表示されます。「指定ユーザーとして実行」を選ぶと、指定されたユーザーの権限で統一的にデータが表示されます。
CSチームには「閲覧者として実行」の設定が適しています。各CS担当者が自分のロール階層に基づいた担当顧客のデータのみを正しく閲覧でき、動的フィルタと組み合わせることで、セキュリティを担保しながらパーソナライズされた表示を実現できます。
まとめ
Salesforceダッシュボードは「レポート → コンポーネント → レイアウト」の3ステップで作成します。CSチーム向けには、利用量サマリー(数値)、ヘルスティア分布(ドーナツ)、スコア悪化リスト(テーブル)、MAU推移(折れ線)、採用率分布(棒グラフ)の5コンポーネント構成が基本です。動的フィルタを適切に設計することで、チーム全員が自分の担当顧客に最適化された画面を日常的に活用できるようになります。
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ailead編集部
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