「Salesforceが重い」の正体
営業担当者から「Salesforceが重い」「ページの読み込みが遅い」「商談を開くのに何秒もかかる」という声が上がる。管理者がSalesforceのサポートに問い合わせると「お客様の環境に問題はありません」と回答される。しかし現場は確実に遅さを感じている。この食い違いはなぜ起きるのでしょうか。
Salesforceのパフォーマンス問題は、単一の原因で起きることは少なく、複数の要因が重なって体感速度を低下させています。ここではパフォーマンス低下の原因を4つのカテゴリに分類し、それぞれの対策を解説します。
原因1: ネットワークとクライアント環境
問題
Salesforceのデータセンターは海外(主に日本リージョンはTokyo)にありますが、社内のネットワーク環境やVPN経由のアクセスが原因で遅延が発生するケースがあります。特にVPNを経由してSalesforceにアクセスしている企業では、VPNの帯域制限がボトルネックになることがあります。
対策
- VPN分割トンネリング: Salesforceへのトラフィックをインターネット直接接続にする設定をネットワーク管理者に相談する
- ブラウザのキャッシュクリア: Chrome > 設定 > プライバシーとセキュリティ > 閲覧履歴データの削除で、キャッシュされた画像とファイルを削除
- Chrome拡張機能の無効化: 拡張機能がSalesforceのページ読み込みに干渉する場合がある。シークレットモードで同じページを開き、速度が改善すれば拡張機能が原因
- 推奨ブラウザの確認: Salesforceの推奨ブラウザ(Chrome最新版)を使用しているか確認
原因2: データ量の増大
問題
組織のSalesforceに蓄積されたデータ量が増えると、レポートの実行時間やリストビューの表示速度が低下します。特に、数年分のデータが整理されずに蓄積されている場合、検索やフィルタリングに時間がかかります。
対策
- 古いデータのアーカイブ: 2年以上前のクローズ済み商談、完了済みタスク、古いケースなど、日常業務で参照しないデータをアーカイブ(エクスポート後に削除)する
- リストビューの最適化: 表示するレコード数を制限する。全レコードを表示するリストビューは、フィルタ条件を追加して対象を絞る
- レポートのフィルタ見直し: 「全期間」のレポートを「直近1年」に変更するだけで、実行速度が大幅に改善する場合がある
- 添付ファイルの管理: 大量の添付ファイル(見積書PDF、契約書など)がストレージを圧迫している場合、外部ストレージサービスへの移行を検討
原因3: カスタマイズの非効率
問題
フロー、Apexトリガー、入力規則が増えると、レコードの保存・更新時の処理時間が長くなります。特に、1つのレコードを保存する際に複数のフローとトリガーが連鎖的に実行される場合、体感的な遅延が大きくなります。
対策
ページレイアウトの簡素化: これが最も効果的な改善施策です。
- 使われていないフィールドをページレイアウトから削除する(フィールド自体の削除は不要。レイアウトから外すだけで表示速度が改善)
- 関連リストを必要最小限に絞る。関連リストが多いほど、ページ読み込み時にSQLクエリが増加する
- ページレイアウトのフィールド数を30個以内、関連リストを5個以内に抑えることが目安です。
フロー・トリガーの最適化:
- 同一オブジェクトに対する複数のレコードトリガーフローを1つに統合する
- SOQLクエリをループ内で実行しない(バルク化する)
- 不要なDML操作を削減する
- Setup > Apex Exception Email で、ガバナ制限に近づいているトランザクションを監視する
入力規則の見直し:
- 実質的に機能していない入力規則(条件が常にfalseになる等)を無効化する
- 複雑な数式を持つ入力規則は、処理負荷が高い。本当に必要な条件に絞る
原因4: Lightning Experienceの特性
問題
Lightning Experienceは、Classicと比較して初回ページロードに時間がかかる傾向があります。これはSingle Page Application(SPA)アーキテクチャの特性で、初回に必要なリソースをまとめてロードするためです。ただし、2回目以降のページ遷移はキャッシュが効くため高速になります。
対策
- アプリケーションビルダーの最適化: Lightningページに配置するコンポーネント数を減らす。特にカスタムLightningコンポーネントは、実装の品質によってパフォーマンスに大きな差が出る
- 動的フォームの活用: Dynamic Forms を使うと、条件に応じてフィールドの表示/非表示を制御でき、初期表示するフィールド数を減らせる
- コンポーネントの遅延読み込み: ページ下部のコンポーネントは、ユーザーがスクロールするまで読み込まない設定にする
パフォーマンス改善チェックリスト
即効性の高い順に並べています。上から順に実施し、効果を確認しながら進めてください。
即効(数分〜1時間)
- ブラウザのキャッシュをクリアする
- シークレットモードで同じページを開き、拡張機能の影響を確認する
- trust.salesforce.comでSalesforceのサービス状況を確認する
- ブラウザを最新バージョンに更新する
短期(1〜3日)
- ページレイアウトから使われていないフィールドを削除する
- 関連リストを5個以内に絞る
- リストビューの表示列を10列以内にする
- 「全期間」のレポートにフィルタ(直近1年など)を追加する
中期(1〜2週間)
- 同一オブジェクトの複数レコードトリガーフローを統合する
- 不要なフロー・入力規則を無効化する
- Dynamic Formsの導入を検討する
- VPN分割トンネリングをネットワーク管理者に相談する
長期(1か月〜)
- 古いデータのアーカイブ計画を策定・実施する
- Apexコードのバルク化(SOQLループの排除)
- カスタムLightningコンポーネントのパフォーマンス最適化
- ストレージ使用量の最適化
パフォーマンスの監視方法
Lightning Usage App
Setup > Lightning Usage で、ページの読み込み速度やブラウザの種類などの情報を確認できます。特定のページが遅い場合、このデータから問題のあるページを特定できます。
Event Monitoring(要Shield)
Salesforce Shieldを利用している場合、Event Monitoringでページ読み込み時間やAPIコール数の詳細なログを取得できます。パフォーマンス問題の根本原因分析に有効です。
ブラウザの開発者ツール
Chrome DevToolsのNetworkタブで、Salesforceのページ読み込み時にどのリクエストが時間を消費しているかを確認できます。特に大きなレスポンスサイズのAPIコールが遅延の原因になっている場合は、関連リストやコンポーネントの最適化が有効です。
まとめ
Salesforceが重い・遅い原因は「ネットワーク」「データ量」「カスタマイズ」「Lightning Experienceの特性」の4つに分類されます。最も即効性が高いのはブラウザのキャッシュクリアと拡張機能の無効化、最も効果が大きいのはページレイアウトの簡素化と関連リストの最適化です。パフォーマンスの問題は複数の要因が重なっていることが多いため、チェックリストに沿って順に対処し、各施策の効果を確認しながら進めるのが確実です。
aileadでSalesforceの負荷を軽減
aileadは対話データAIプラットフォームとして、対話データの分析処理をSalesforce外で実行し、結果のみをSalesforceに連携します。Salesforce上で複雑なレポートやダッシュボードを構築しなくても、営業活動の分析が可能。Salesforceのカスタマイズを減らし、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えます。400社以上の導入企業でSalesforceとの連携実績があります。お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
関連記事
- Salesforceのカスタマイズが技術的負債になる前に|保守しやすい設計と運用の作り方
- Salesforceフローが複雑になりすぎた時の整理術|自動化を管理可能な状態に保つ方法
- Salesforceの入力が面倒?入力負荷を半減させる設定テクニック10選
- Salesforceが定着しない7つの原因と現場に効く定着化施策
ailead編集部
株式会社ailead
aileadの公式編集部です。営業DX・AI活用に関する情報を発信しています。



