問題行動への対応と再発防止|労務対応から採用プロセス改善まで
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問題行動への対応と再発防止 | 労務対応から採用プロセス改善まで

ailead編集部

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この記事における「問題行動」の定義

はじめに、この記事での「問題行動」の定義を明確にします。

ここでの「問題行動」とは、業務上のパフォーマンス不足や就業規則違反など、客観的な事実に基づき改善が必要な行動を指します。個人の性格や特性への評価ではありません。

「問題社員」という言葉が広く使われますが、この表現は個人にラベルを貼る印象を与えます。実際には、行動上の課題であって「人」の問題ではないケースがほとんどです。環境やマネジメントの問題が行動として表面化していることも多く、最初から個人を問題視するアプローチは適切ではありません。

本記事では、あくまで客観的な行動事実に基づく課題として捉え、対応と予防の両面から解説します。

問題行動の4つの類型

職場で対応が求められる問題行動は、大きく4つの類型に分けられます。

パフォーマンス不足

期待される成果を継続的に出せていない状態です。スキル不足、仕事の進め方の問題、役割理解の齟齬など、原因は多岐にわたります。重要なのは、「期待される成果」が明確に伝えられていたかを先に確認することです。基準が曖昧なまま「パフォーマンスが低い」と判断するのは公正ではなく、後述する解雇権濫用法理の観点からも問題となります。

コミュニケーション課題

報告・連絡・相談の不足、チーム内での協力姿勢の欠如、顧客や社内関係者への不適切な対応などが含まれます。コミュニケーションの問題は、本人の認識と周囲の認識にギャップがあることが多く、事実ベースでのフィードバックが特に重要です。

規則違反

遅刻・早退の常態化、経費の不正使用、情報セキュリティポリシーの違反、ハラスメント行為など、就業規則や法令に抵触する行動です。規則違反は事実確認が比較的明確ですが、程度や頻度によって対応が異なります。重大な違反は即座に対処が必要です。

モチベーション低下

業務への意欲が著しく低下している状態です。これは原因ではなく症状であることが多く、業務内容とのミスマッチ、人間関係の問題、プライベートの事情など、背景にある要因を丁寧に把握する必要があります。リクルートマネジメントソリューションズの「新人・若手の早期離職に関する実態調査」によれば、入社3年目以下社員の退職理由の1位は「労働環境・条件がよくない」(25.0%)であり、個人のモチベーションの問題に見えても、実際には組織側の環境要因が大きく影響しています。一方的に「やる気がない」と判断するのは避けるべきです。

対応フロー: 事実確認から改善計画まで

問題行動への対応は、感情的にならず、段階を踏んで進めることが重要です。以下のフローを基本とします。

ステップ1: 事実確認

対応の出発点は、客観的な事実の把握です。

  • 具体的な行動事実を収集する: いつ、どこで、何が起きたかを記録します。「態度が悪い」「やる気がない」といった主観的な印象ではなく、「○月○日の会議で報告を求められたが、準備ができていなかった」のように事実を特定します
  • 複数の情報源から確認する: 一人の上司の見方だけでなく、同僚や関係者からも状況を確認します。ただし、本人の知らないところで「調査」を進めすぎると信頼関係を損なうため、配慮が必要です
  • 評価バイアスに注意する: 面談前に、自分自身のバイアス(特定の社員に対する先入観)がないかを振り返ることも大切です

ステップ2: 面談と指導記録

事実を把握したら、本人との面談を行います。

面談のポイント:

  • 最初から指導や叱責の姿勢ではなく、本人の状況を聞くことから始める
  • 具体的な行動事実を伝え、組織として何を期待しているかを明確にする
  • 本人の認識や困っていることを聞く。問題行動の背景に、業務の過負荷やスキルのギャップ、プライベートの問題がある場合もある
  • 合意した改善事項と次のステップを書面で共有する

面談内容は必ず記録に残します。日付、場所、参加者、伝えた内容、本人の反応、合意事項を文書化し、本人にも共有します。口頭だけの指導は、後日「聞いていない」というトラブルの原因になります。

ステップ3: 改善計画(PIP)の策定

面談後も改善が見られない場合は、書面による改善計画(Performance Improvement Plan: PIP)の策定に進みます。

PIPに含めるべき要素:

  • 改善が必要な具体的な行動と、期待される水準
  • 改善のために会社が提供するサポート(研修、メンタリング、業務量の調整等)
  • 改善の達成期限(通常1〜3か月)
  • 進捗確認の頻度とフォーマット
  • 改善が見られなかった場合の対応

PIPは本人を追い詰めるためのツールではなく、改善の機会を公正に提供するための仕組みです。目標は現実的に達成可能なものに設定し、会社側のサポートも明記します。

なお、PIPを実施したとしても、それだけで解雇が有効になるわけではありません。ブルームバーグ・エル・ピー事件(東京高裁 平成25年4月24日判決)では、3度のPIPを経て能力不足と判断した従業員への解雇が争われ、PIPを実施していても「具体的な改善矯正策を講じていたとは認められない」として解雇は無効と判断されました。また、華為技術日本事件(東京地裁 令和6年3月18日判決)でも、PIPで目標を達成できなかったことだけでは「能力不足が労働契約の継続を困難にするほど重大であるとは認められない」とされています。PIPは「形式的に実施した」という事実だけでなく、会社側が具体的な支援策を講じたかどうかが法的に問われます。

ステップ4: 配置転換・その後の対応

PIPの期間中に十分な改善が見られない場合、配置転換やその他の対応を検討することになります。

ここで重要な注意事項があります。 配置転換、降格、退職勧奨、解雇といった対応は、労働法上の制約を受けます。労働契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めており、日本の判例法理は使用者側に厳格な立証責任を課しています。前述のブルームバーグ・エル・ピー事件や華為技術日本事件のように、PIPを実施した後の解雇であっても無効とされるケースは少なくありません。手続きや要件を誤ると、不当解雇や不利益変更として法的リスクが発生します。

これらの判断は、必ず社会保険労務士や弁護士などの労務の専門家に相談のうえ進めてください。本記事は一般的な対応フローを示すものであり、法的な助言を提供するものではありません。

1on1での状況把握と記録の重要性

問題行動への対応において、定期的な1on1ミーティングは非常に有効です。

1on1は、問題が深刻化する前に兆候を把握する「早期発見」の機能と、改善プロセスの中で本人の状況を継続的に確認する「フォローアップ」の機能を持ちます。

1on1で意識すべきこと:

  • 業務の進捗だけでなく、本人の困りごとや不安を聞く時間を確保する
  • 前回の1on1で話した内容の進捗を確認する
  • 1on1の内容を記録し、経時的な変化を追跡できるようにする

1on1の記録は、問題行動が発生した際のエビデンスとしても機能します。前述の判例が示すとおり、PIPや解雇の有効性が争われた場合、裁判所は「会社側が具体的にどのような改善支援を行ったか」を重視します。「以前から状況を把握し、サポートを提供してきた」ことを示す記録があれば、対応の公正さと改善努力の具体性を立証する材料となります。

1on1の効果的な進め方や記録方法については、「1on1ミーティングの質を高めるAI活用ガイド」で詳しく解説しています。

再発防止としての採用プロセス改善

入社後の問題行動には複数の原因がありますが、その一つに採用段階での見極め不足が含まれることがあります。

もちろん、入社後に発生する問題の全てが採用で防げるわけではありません。マネジメントの問題、組織風土の問題、業務量の問題など、入社後の環境に起因するケースも多々あります。しかし、前述のリクルートマネジメントソリューションズの調査では、退職理由の上位に「仕事についていけない」「仕事にやりがいが感じられない」といった入社前の期待と現実のギャップに起因するものが並んでおり、採用時点での見極めや期待値のすり合わせが不十分だったケースは少なくありません。

構造化面接による予測精度の向上

非構造化面接(自由面接)では、面接官が候補者の印象に引っ張られ、実際の行動特性を見極められないことがあります。Schmidt & Hunter(1998)のメタ分析によれば、構造化面接の予測的妥当性は.51であるのに対し、非構造化面接は.38にとどまります。構造化面接を導入し、過去の具体的な行動を引き出す質問を設計することで、入社後のパフォーマンスや行動の予測精度を有意に向上させることが可能です。

特に、以下のような観点を面接で評価することは、入社後の問題行動の予防に有効です。

  • 困難な状況での対処行動(過去の経験をSTAR形式で聞く)
  • フィードバックを受けた際の反応と行動変容
  • チームでの協業経験と、意見対立時の対応

構造化面接の設計方法については、「構造化面接とは?AI録画分析で実現する評価標準化の実践ガイド」を参照してください。

入社後データとの突合で採用基準を改善する

問題行動が発生した際に、その社員の面接時の評価を振り返ることで、「どのような観点が不足していたか」が見えてきます。

例えば、チームでの協業に課題がある社員が複数名出ている場合、面接で協調性やコンフリクト対応を十分に評価できていなかった可能性があります。こうしたデータを蓄積し、採用基準にフィードバックすることで、同じパターンのミスマッチを防げるようになります。

この「入社後の行動データ → 採用基準の改善」というサイクルを回すことが、採用の質を継続的に高める鍵です。

aileadで1on1記録と面接データの蓄積を効率化する

問題行動への対応でも、再発防止のための採用改善でも、鍵となるのは「データの記録と蓄積」です。

aileadは、Teams・Zoom・Google Meetに対応した対話データAIプラットフォームです。1on1や面接の対話データを自動で構造化・蓄積し、人材マネジメントの質の向上を支援します。導入企業400社以上の実績があります。

問題行動対応・再発防止における具体的な活用:

  • 1on1ミーティングの自動録画・文字起こし(約94%の精度)により、面談内容の正確な記録を支援
  • 面接の録画データを蓄積し、入社後パフォーマンスとの突合分析を可能に
  • 面接官ごとの評価傾向を可視化し、採用基準の継続的な改善を支援
  • ISO/IEC 27001:2022認証取得、日本国内データセンターで運用

1on1の記録活用や面接プロセスの改善に取り組みたい方は、デモをご覧ください

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問題行動への対応と再発防止に関連するテーマを、以下の記事で深掘りしています。

まとめ

職場での問題行動への対応は、事実確認から始め、面談・記録・改善計画と段階を踏んで進めることが基本です。主観的な判断や感情的な対応を避け、常に客観的な行動事実に基づくことが重要です。労働契約法第16条の解雇権濫用法理やブルームバーグ・エル・ピー事件、華為技術日本事件の判例が示すとおり、PIPの「形式的な実施」だけでは法的に不十分であり、会社側の具体的な改善支援と記録の蓄積が求められます。法的リスクを伴う判断については、必ず専門家に相談してください。

同時に、問題行動の一因に採用段階の見極め不足がある場合は、構造化面接(予測的妥当性.51)の導入や入社後データとの突合分析により、上流での予防に取り組むことも求められます。労務対応(入社後の対処)と採用改善(上流での予防)の両輪で、組織全体の再発防止を進めていきましょう。

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