テクノロジー

エージェンティックワークフロー

AIエージェントが自律的に判断・実行する業務ワークフロー。ルールベース自動化と異なり、状況に応じた柔軟な対応が可能。

エージェンティックワークフローとは

エージェンティックワークフロー(Agentic Workflow)とは、AIエージェントが自律的に判断しながら業務プロセスの各ステップを実行する、新しいワークフロー設計のアプローチです。2024年にAndrew Ng氏が「エージェンティックワークフローがAIの大きな進展をもたらす」と提唱したことで、業界全体の注目を集めました。従来のワークフロー自動化が「事前に決められたルールどおりに動く」ことを前提としていたのに対し、エージェンティックワークフローでは大規模言語モデル(LLM)を推論エンジンとして活用し、外部ツールやAPIを「手足」として操作することで、状況に応じた柔軟な判断と実行を実現します。

従来のワークフロー自動化との違い

エージェンティックワークフローと従来のRPA(Robotic Process Automation)は、自動化という目的は共通していますが、アプローチが根本的に異なります。

比較項目RPAエージェンティックワークフロー
判断基盤ルールベース(if-then)AIによる推論
フロー固定(事前定義)動的(状況適応)
対応データ構造化データ構造化+非構造化データ
例外処理人間にエスカレーションAI が判断して対処を試行
設計コストフロー設計が必要ゴール定義が中心

重要なのは、両者が対立するものではなく補完関係にある点です。構造化データの高速な定型処理はRPAが得意とし、非構造化データを含む判断と分岐が必要な業務にはエージェンティックワークフローが適しています。多くの企業では、既存のRPA基盤にエージェンティックワークフローを組み合わせるハイブリッド型の導入が進んでいます。

エージェンティックワークフローの4つの設計パターン

Andrew Ng氏のフレームワークに基づくと、エージェンティックワークフローには4つの主要な設計パターンがあります。

  1. Reflection(自己検証): AIが自身の出力を評価し、品質が基準を満たすまで修正を繰り返すパターンです。例えば、生成した提案書をAI自身がレビューし、論理の飛躍や数値の不整合を検出して修正します。
  2. Tool Use(ツール活用): AIが外部のAPI、データベース、業務システムを呼び出して情報を取得・更新するパターンです。CRMからの顧客データ取得、カレンダーへの予定追加、メール送信などがこれにあたります。
  3. Planning(計画立案): 複雑なタスクを小さなサブタスクに分解し、実行順序を決定するパターンです。「四半期レビュー資料を作成して」という指示を受けると、データ収集、分析、グラフ作成、スライド構成、レビュー依頼といったステップに分解して実行します。
  4. Multi-Agent(マルチエージェント): 専門性の異なる複数のAIエージェントが協調して1つのタスクを遂行するパターンです。データ収集エージェント、分析エージェント、文章生成エージェントがそれぞれの役割を担い、成果物を統合します。

実際のエージェンティックワークフローでは、これら4つのパターンを組み合わせて設計するのが一般的です。

営業プロセスでの活用例

営業領域では、商談後のフォローアップ業務がエージェンティックワークフローの代表的な適用先です。Web会議(Teams、Zoom、Google Meet)で実施した商談が終了すると、以下のワークフローがAIエージェントによって自動実行されます。

  1. 商談録音の文字起こしと話者分離
  2. 会話内容からBANT情報(予算、決裁者、ニーズ、時期)を抽出
  3. 抽出した情報をCRMの該当商談レコードに自動入力
  4. 商談内容に基づくネクストアクションの起票(タスク作成)
  5. 顧客への御礼メールの下書き生成(会話で言及された課題への対応を含む)
  6. 上長やチームメンバーへの商談サマリー共有

各ステップでAIが判断を行う点が従来の自動化と異なります。例えば、ステップ2ではBANT情報が会話の中で明示されていない場合でも、文脈から推測して確信度とともに記録します。ステップ4では商談の進捗状況に応じて、提案書作成、社内稟議の準備、技術検証の手配など、最適なアクションを判断して起票します。

人事・採用プロセスでの活用例

人事・採用領域でも、エージェンティックワークフローの活用が広がっています。採用面接後の評価・報告業務をワークフロー化する事例を紹介します。

  1. 面接録音の文字起こしと質疑応答の構造化
  2. 事前に定義した評価項目に基づく候補者評価の自動スコアリング
  3. 面接での候補者の回答から、スキル、カルチャーフィット、成長ポテンシャルを分析
  4. 評価シート(面接スコアカード)の自動生成
  5. 過去の採用データと照合し、次の選考ステップの推薦
  6. 採用委員会向けの報告書作成

このワークフローにより、面接官は面接中の対話に集中でき、評価業務の工数を大幅に削減できます。また、評価基準が統一されるため、面接官ごとの評価のばらつきを抑制する効果もあります。

aileadとエージェンティックワークフロー

aileadは、Teams、Zoom、Google Meetでの商談や面接の対話データを統合・構造化するプラットフォームです。この構造化された対話データが、エージェンティックワークフローのトリガーおよび燃料として機能します。会議が終了すると、aileadが対話内容を自動で構造化し、顧客の課題、意思決定者の関心事、合意事項、ネクストアクションといった業務に必要な情報を抽出します。これらの情報がSalesforce連携(カスタムオブジェクト対応)を通じてCRMに自動反映され、後続のワークフローが起動する仕組みです。ISO/IEC 27001:2022を取得したセキュリティ基盤のもと、400社以上の企業が対話データを起点としたワークフロー自動化を実現しています。

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